SENSHU RUGBY 2020 ~ 開幕戦プレビュー


2020年の関東大学ラグビーが開幕する。
今季はコロナの影響で春季大会が見送られ、夏の合宿も行われないまま、8月にチームとして練習をスタート、9月に行われた2試合の練習試合(筑波、日体)を経て、ほぼぶっつけ本番で開幕戦にのぞむ――。


専大は昨シーズンのリーグ戦を2000年以来19シーズンぶりの5位でフィニッシュした。
今季の目標はもちろん大学選手権出場。リーグ戦の上位3校にしか与えられないこの出場権を獲得するのはもちろん簡単ではないが、一方で過去4年で2部3位→2部優勝→1部7位→1部5位と2つずつ順位を上げてきた専大にとって、この目標はいたって現実的だ。
ただし、この躍進を支えた2016年入学組が今年の4月に卒業した。それだけに春からチーム作りができなかったのは残念ではあるが、これは各大学とも同じこと。その意味では首脳陣のマネージメント力、手腕が例年以上に大きなウェートを占めることは想像に難くない。そして、この点に関しては村田監督の力量は疑いようがなく、大学の指導者の中でも、もはやトップランクに位置するものと思われる。

専大のチーム力が上昇してきた大きな要に、長年、東芝府中の選手を指導してきた竹内明彦プロストレングスコーチによるウェイトトレーニングがある。その始まりは2部3位に終わった2016年のシーズン終了後。このトレーニングで選手の身体は飛躍的に大きく、強くなり、1年後の入替戦では関東学院を圧倒した。
現4年生は、このトレーニングを入学と同時にスタートさせ、4年間にわたって続けてきた初めての世代。それだけに彼らの身体能力はもはやリーグ戦上位校とも十分に伍していけるだけのものがあり、事実、9月に行われた筑波、日体との練習試合でもスクラムは万全だったという。

また、チームの成績上昇と軌を一にするように選手のリクルートの質も上がっている。
昨年は高校日本代表SHの友池が入部、今年も高校ラグビーの決勝戦に出場した桐蔭(優勝)と御所実業(準優勝)からそれぞれレギュラーだった飯塚(WTB)、高居(SO)が入部。飯塚は昨年の友池に続いて開幕戦スタメンを勝ち取った。

今季は一見すると大駒が抜けた後のようにも見えるが、それだけに村田監督が就任以来、一日も手を抜くことなく積み上げてきた成果が、逆に見えてくるシーズンになる。もちろん、この間には1部昇格から再度の2部落ちという辛い時期もあった。しかし「努力に即効性はない」(野村克也)。どんな時にもポジティブな村田監督の下でトレーニングを積み重ねてきた選手たちが、安定的に高い能力を出せる環境は整った。
リーグ戦上位校を見渡すと、相変わらず強力な留学生がいる。しかし、一方で対抗戦は早稲田、明治のみならず筑波も留学生なしで結果を出し、かつリーグ戦に対して優位を保っている。これは単純に留学生の多寡がチームの成績につながるわけではないことを示しているわけで、あくまで多くのファクターの一つに過ぎない。
村田監督によれば、専大は現時点では留学生を迎える予定はなく、高校ラグビーからリクルートしてきた選手だけで大学選手権に出場し、優勝を目指すと言っている。そこらへんの素人ではない、ワールドカップに三度出場し、海外のプロリーグに初めてわたった有言実行の人がそう言っているのだ。道は必ず開ける。


【関東大学リーグ戦 1部 第1節 vs大東文化大学】
10月4日(日) 熊谷B 13:00KO(無観客)

1.檀野 友多郎
2.小栗 冬雅
3.栗山 塁
4.小笠原 颯
  5.久次米 航希
6.折居 慎斗
7.春口 陽
8.原 健将
9.友池 瞭汰
10.森野 幹太
11.飯塚 稜介
12.夏井 大樹(C)
13.平山 壮太
14.花田 悠太朗
15.古里 樹希
16.山口 和明
17.米沢 豪真
18.松尾 龍之介
19.川畑 松大
20.山下 拓真
21.酒井 亮輔
22.松尾 東一郎
23.水野 景介

今季の開幕戦は昨年と同じく大東大。昨年は試合開始直後のイージーなミスからの失点が響いて7点差で敗れた。今年も相手は留学生を中心に最初から圧力をかけてこようとするだろう。それだけに、まずは試合の入りを大事にしたい。最初の10分程度をうまく凌げは相手のコンタクトにも慣れて互角以上の展開に持ち込むことができるはずだ。
FWの平均体重は専大98.9kg、大東99.9kgとほぼ互角。スクラムには自信をもってのぞむ。
1年生で抜擢された飯塚とLO久次米(2年)に注目。

※速報はラグビー部twitter(@senshurugbynow)で。
※試合の録画は5日13:30以降からJSPORTSオンデマンド(有料)で視聴可能。

文責:京谷六二